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2018年07月12日

【極み職人 vo.9】経営者感覚があり方を変えた  海外支援活動の匠

原武(さくらもち制作部)

原武(さくらもち制作部)

毎月芸術的な職人技とその人柄に迫るこのコーナー『極み職人』。

私たちの身近には、職人ならではのこだわり、極めた技、その背景にある魅力的な人柄をお持ちの方が多くいらっしゃいます。

そんな方々をご紹介し、職人としての想いに触れることで、新たな発見、刺激や気づきになるコーナーになれたら嬉しいです。

 

今回ご紹介させていただく職人さんはこの方!

Cambodia Mines-remove Campaign

大谷賢二さん

 

 小・中学生のお子様をお持ちの方なら、もしかすると教科書に今回の匠の活動を見ることができるかもしれない。
 カンボジアで地雷撤去のボランティア活動をしている一般財団法人カンボジア地雷撤去キャンペーン(以降CMC)のその活動は、倫理や現代社会など九つの教科書で取り上げられているからだ。
 カンボジア内戦後も一般人を苦しめ続ける地雷。経営者としての経験を生かして地雷撤去活動を続ける大谷賢二さんは、支援環境作りの匠だった。

 

衝撃的な光景

 

「私が二十二年前にカンボジアを訪れた時、足がない人、手がない人をたくさん見かけたんです。私はベトナム戦争の影響かなと思いました」
 当時いくつかの会社を経営し、若い頃から「日本を良く知るためには、国外から見なくては」と世界中を回っていた大谷さんだったが、ベトナム反戦時代に大学生生活を送っていた経験から、インドシナ三国(ベトナム、ラオス、カンボジア)にはなかなか足が進まなかった。
 しかし、いざカンボジアに入った大谷さんは驚きを隠せなかった。町や村で頻繁に目にする腕や脚のない人たち。色々と調べてみるうちに、それがカンボジア国内の内戦が原因だということがわかった。大国の代理戦争とも言えるカンボジアの内戦。その内戦時に国境付近に埋められたまま残った百万個を超える地雷。そして、傷ついたのは他でもないカンボジア人という悲劇が目の前にあったのだ。

 

なんとかしなければ

 

 特にタイ国境付近の貧しい農村部に地雷は集中していた。大谷さんが現状を見たのが一九九六年。まだまだ本当の意味での戦争は終わっていなかったのだ。
 それを目の当たりにして、「これはなんとかしなければ」と思った大谷さんは、「やるなら、私はアジア人として同じアジアに住む人を助けよう」と活動を決断した。
 しかし、普通に考えれば一般市民がどうこうできるような金額ではない。そこで、経営者の大谷さんは考えた。

 大谷さんは広告業の仕事柄、人目をひくコピーを思いついた。「あなたのポケットにある百円玉一枚でコーラは買えないけど、一平方メートルの地雷原は綺麗にできます」と。また、イベント業で知り合った芸能人から協力を得、旗揚げ公演を兼ねたチャリティイベントを成功させ、実際にカンボジアに現金を送るところから始めることができた。

小学生のちからで

 

 支援金は企業や個人からもあるが、全国の教育委員会の協力で、書き損じハガキやペットボトルなどを回収した収益も多い。つまり、小・中学生の力によるものだ。

 地雷撤去をした後には、村の要望に応じて学校を建てているが、日本の小学生が田植えから稲刈りまでして得た収益を、その小学生の制服購入につなげたりもしている。
 日本国内の災害も立て続いたので海外支援には批判的な声もあるのではとの質問に、大谷さんは、「現金は東北や熊本に送ってください。私たちは使わなくなったテレホンカード、書き損じハガキでいいんです」と実に謙虚だ。
 また、支援の成果を支援者に報告することも大切にしている。前述の制服のお礼メッセージを届けたり、撤去後の地雷原に建てた学校に支援者・支援企業の名前を入れたり。

 自分たちのやったことが国境を越えて、間違いなく役に立っていると言うことの証を目に見える形にしているのだ。

 

 

自立を願う

 

 大谷さんは言う。「私たちは地雷撤去と地雷被害者の生活の安定を目指しています。

 農業支援や農業に向かない地域では養豚・放牧プロジェクトも進めています。しかし、彼らを支援漬けにする気はありません。自立できればと心から願っています。

 そのためにも、地雷原だった村に今まで無かった学校を作り、奨学金制度も設けました。貧困格差は教育にも起因します。教育を受けた若い人たちが古い慣習にとらわれず、自分たちの国のことを見渡せるようになって欲しいです」
 他にもここでご紹介しきれない支援のことをたくさん伺った。ご興味のある方は、ぜひホームページをご覧いただきたい。
 活動二十周年になるCMC。最後に大谷さんは、「地雷被害者がゼロになれば死んでもいい」と笑った。

 

お問い合わせ

 

カンボジア地雷撤去キャンペーン

〒814-0002 
福岡市早良区西新1丁目7-10-702

TEL:092-833-7676 

FAX:092-833-7677

Email: cmc5963@gmail.com

WEB:http://cmc-net.jp/

原武(さくらもち制作部)

この記事を書いた人

原武(さくらもち制作部)

さくらの森の会報誌「さくらもち」の企画編集、執筆、写真を担当。

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