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2018年07月19日

【ナトリウム】過剰摂取による高血圧に注意|栄養成分辞典

添田(企画)

添田(企画)

ナトリウムとは

 

ナトリウムは、生命を維持するうえで欠かせない必須ミネラルの一つです。

食品の中では主に食塩として存在しているため、摂取目安量は基本的に食塩の分量で表記されています。

食塩は体内に入ると、ナトリウムイオン(Na+)と塩素イオン(Cl-)に分解され、ほぼすべてが小腸から吸収されます。

その後、余分なナトリウムは腎臓で濾過され、体外へ排泄されます。

 

ナトリウムは、主に細胞外液に存在しており、細胞内液に存在するカリウムとともに、細胞の浸透圧や水分バランスを調整しています。

そのほか、筋肉や神経の働きを正常に保つ、体液を弱アルカリ性に保つ、胃酸の分泌を促す、などの働きがあります。

また、骨の構成要素として骨格の維持にも関与しています。

 

体内のナトリウム量は、腎臓での再吸収量の調整によってバランスが保たれています。

過剰な分は通常尿中へ排泄されますが、長期的に過剰な状態が続くと、血液中のナトリウム濃度を薄めるために、細胞内の水分が血管内に浸透します。

その結果、血管内の循環血液量が増え、血管壁を圧迫し、血圧が上がります。

これがいわゆる高血圧です。

ナトリウムは、体の機能を調節し正常に維持するために重要な栄養素ですが、塩分の過剰摂取には注意しましょう。

 

主なはたらき

・細胞内外の浸透圧や水分量を調整する

・筋肉や神経のはたらきを正常に保つ

・体液のpH調整

・胃酸分泌をたすける

・骨格維持に関与

 

1日に摂る量

≪1日に必要とされる量 ※30~49歳成人の場合≫

・推定平均必要量:男性600mg(食塩相当量1.5g)、女性600mg(食塩相当量1.5g)

・目安量:なし

・目標量:男性 食塩相当量8.0g未満、女性 食塩相当量7.0g未満

 

※用語の解説はこちら

 

 
*食塩相当量はナトリウム量に2.54を乗じて算出

 

食塩の摂取量は、高血圧予防の観点から「日本人食事摂取基準(2015年版)」より目標量が引き下げられました。

これにより、18歳以上の男性では1日9g未満から8g未満へ、18歳以上の女性では7.5g未満から7g未満とされています。

また、日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン(JSH2014)では、高血圧や腎臓病がみられる場合、食塩摂取量は1日6g以下が望ましいとされています。

 

不足すると…

ナトリウムは、ほとんどの加工食品や調味料に含まれているため、通常の食生活において不足する心配はほぼありません。

ただし、過剰な発汗や、嘔吐・下痢などにより、大量にナトリウムが排泄されると欠乏症を起こすことがあるため、塩分補給が必要です。

ナトリウムが不足した場合、以下のような症状がみられます。

 

 低血圧・頻脈・疲労感

ナトリウムが不足すると、血液量が低下し、血液循環が悪くなります。

その結果、低血圧や頻脈などの症状が起こり、倦怠感や疲労感などが現れます。

 

食欲不振・嘔吐

また、消化液が減少することによって、食欲がなくなったり吐き気を引き起こしたりすることもあります。

 

筋肉けいれん・昏睡状態

さらにナトリウム濃度が低下すると、筋肉量が低下し、筋肉痛を起こしたり、ひどい場合には筋肉けいれんや昏睡状態に陥ることもあります。

 

摂りすぎると…

高血圧・むくみ

ナトリウムの過剰摂取が続くと、血液中のナトリウム濃度を下げるために、細胞内の水分が血管内へ浸透します。

そのため血流量が増え、高血圧を招きます。

また、同時に血管内の水分が徐々に外へ染み出し、肌の下の細胞と細胞の間に水が溜まるようになることで、むくみが起こります。

むくみは、水分の摂りすぎが原因だと思われがちですが、塩分過剰による場合も多くみられます。

顔や手足のむくみが気になるときは、塩分を摂りすぎていないか意識してみましょう。

 

動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中

高血圧状態が続くと、血管に負担がかかってしまうため、血管壁が傷つかないように厚みを増していきます。

さらに血液中の塩分により血小板が凝固しやすくなり、「血栓」が生まれやすい状態になります。

その結果、血管が弾力を失い硬くなる症状、いわゆる「動脈硬化」が進行します。

また、血管が硬く内腔が狭くなることで、血栓がつまりやすくなり、「心筋梗塞」や「脳卒中」のリスクも高まります。

 

不整脈・心疾患

ナトリウムは通常、カリウムとともに電気信号を細胞に伝えているのですが、塩分過剰が続くとこの電気刺激に異常がみられることがあります。

この電気刺激の異常により心臓の鼓動が乱れ、不整脈を起こすことがあります。

さらに悪化すると、心疾患のリスクが高まります。

 

慢性腎臓病・腎不全

ナトリウムの排泄は、主に腎臓の濾過機能によって行われているため、塩分過多が続くと、腎臓に負荷がかかり続けます。

その結果、腎臓の機能が慢性的に低下する「慢性腎臓病」を発症しやすくなります。

さらに、慢性腎臓病が悪化すると、「腎不全」を招き、透析療法が必要となる場合があります。

 

尿路結石・骨粗鬆症

また、排泄するナトリウム量が増えることで、尿中のカルシウム量も増え、尿道にカルシウムから作られる「尿路結石」が起こりやすくなります。

あわせて、尿中カルシウム排泄量が高まることで、体内のカルシウム量が低下し、「骨粗鬆症」のリスクも高まるので注意が必要です。

 

胃がん

過剰に摂った塩分は、胃の粘膜を傷つけるため、胃酸が大量に分泌されます。

その結果、胃に炎症が起こりやすくなります。

さらに悪化すると、胃がんのリスクが高まると言われています。

 

こんな人は注意

✓高血圧

✓腎臓機能が弱まっている

✓濃い味を好む

✓外食が多い

✓加工食品に頼りがち

 

多く含まれる食品

塩分を多く含む主な食品

食品名 1食分の目安量(g) 食塩含有量(g)
即席中華麺 100g(1袋) 6.4
ザーサイ 20g 2.7
あさり佃煮 30g 2.2
新巻鮭 70g(1切れ) 2.1
はんぺん 100g(1枚) 1.5
焼きちくわ 50g(1/2本) 1.1
たくあん漬 20g 0.9
ロースハム 30g(薄切り2枚) 0.8

 

塩分は自然に存在する食材にはあまり含まれていませんが、加工食品や調味料には含有量が高いものが多く、摂り過ぎには注意が必要です。

調味料では、和食に欠かせない醤油や味噌などの調味料にも塩分が多く含まれています。

また、加工食品の中には、保存性を高めるために食塩を多く使っているものがあります。

塩辛いイメージはあまりありませんが、麺類や練り物なども実は塩分含有量が高い食品です。

食べ過ぎると塩分過剰になるため、気をつけましょう。

 

摂取するときのポイント

主食・間食の選び方

加工食品には塩分が含まれているものが多いため、減塩のためには、なるべく自然食材を選ぶようにしましょう。

主食の中でも、パンや麺類には製造の過程で食塩が使われているため、塩分が含まれています。

毎食パンや麺ばかりを食べていると塩分過多になりやすいため、注意が必要です。

白米には塩分が含まれていないので、主食として選ぶにはおすすめです。

 

また、スナック菓子やスイーツなどにも塩分が高いものが多いため、食べ過ぎると塩分の摂りすぎにつながります。

小腹が空いたときに、お菓子の代わりに果物などを摂るようにすると、塩分を抑えられるだけでなく、ナトリウムの排泄に必要なカリウムも補うことができます。

 

麺類の汁は半分残す

汁物にも塩分が多く含まれています。

ラーメンやうどんの汁などを全て飲み干すと、それだけで理想とされる1日の食塩摂取量を大幅に超えてしまいます。

汁はなるべく飲みきらずに半分は残すようにしましょう。

また、味噌汁やスープなども塩分が高くなりやすいため、毎食摂るよりも1日1~2回に抑えたほうが減塩しやすいです。

 

「かける」よりも「つける」

醤油やソースは、全体にかけて食べるよりも、つけて食べるほうが量を減らすことができ、塩分量を抑えることができます。

たとえば蕎麦を食べるなら、「かけ蕎麦」よりも「ざる蕎麦」を選ぶほうが塩分量を抑えることができるためおすすめです。

 

外食での塩分の摂りすぎに注意

また、一般的に外食のメニューは家庭料理よりも味付けが濃く、塩分量が多い傾向にあります。

自炊をする場合は、自分で塩分をコントロールできますが、外食だと気づかないうちに塩分を摂りすぎてしまいがちです。

なるべく「自分で作って食べる」習慣をつけられるのが理想ですが、どうしても外食や持ち帰りをする際は、メニューや成分表示に表記されている塩分量を意識するようにしてみましょう。

 

減塩調理のポイント

うま味を効かせる

濃い味付けにすると、どうしても塩分量が高くなってしまいます。

新鮮な食材を使い、出汁をしっかりと効かせることで、薄味でも十分美味しく味わうことができます。

さらに、

・かつお節(イノシン酸)×昆布(グルタミン酸)

・肉類(イノシン酸)×香味野菜(グルタミン酸)

などのように、うま味成分同士を組み合わせることで、「うま味の相乗効果」が生まれるため、より満足感を高められます。

 

味付けは表面に

調理の過程で食塩や味噌、醤油などを最初からしっかりと混ぜ込むよりも、出来上がりの表面に少量つけるほうが減塩しやすくおすすめです。

表面に味付けすることで舌に直接味が伝わるため、少量の塩分でも味が濃く感じることができます。

 

香辛料・薬味や柑橘類を取り入れる

また、生姜・青じそ・みょうがなどの薬味や、バジルやミントといったハーブ、わさびや唐辛子などの香辛料を取り入れることで、塩分を抑えた状態でも味を効かせることができます。

レモンやかぼすなどの柑橘類も香りがよく酸味があるため、おすすめです。

 

添田(企画)

この記事を書いた人

添田(企画)

食べることが大好きな管理栄養士です。食と健康にまつわるお役立ち情報をお届けします♪

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