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2018年06月20日

【脂質】細胞やホルモンを構成する大切な栄養素|栄養成分辞典

大塚(企画部)

大塚(企画部)

脂質とは

糖質が不足したときに、エネルギー源として利用されるのが「脂質」です。

1gあたりのカロリーは三大栄養素の中で一番高く、

(糖質:4kcal/g、たんぱく質:4kcal/g、脂質:9kcal/g)

最も効率の良いエネルギー源となります。

また、脂質のひとつであるコレステロールは、細胞膜やホルモンの原料になるなどの役割も担っています。

脂質は、摂り過ぎると体脂肪として蓄積されますが、生命活動に欠かせない栄養素の一つです。

 

脂質の分類

脂質は、その構造によって単純脂質複合脂質誘導脂質の3つに大別されます。

(右は一例。赤字はこのページ中に複数回出てくる重要な脂質です。)

 

単純脂質

グリセロールと脂肪酸が結合したものです。

一般的に知られるものとしてトリアシルグリセロール(中性脂肪)があります。

中性脂肪は食べ物に最も多く含まれる脂質で、主にエネルギー源として使われますが、過剰になると体脂肪として蓄えられます。

 

複合脂質

グリセロールと脂肪酸にリン酸や糖が結合したものです。

主な種類として、リン脂質や糖脂質があります。

一般的に脂質は、水に溶けませんがリン脂質は水、脂質ともになじむ性質(両親媒性)があるので、細胞膜や水に溶けない脂質を血液内で運ぶリポたんぱく質の材料となります。

 

誘導脂質

単純脂質や複合脂質が加水分解や合成によって生じたもので、脂肪酸、コレステロール、脂溶性ビタミンなどがこれに当たります。

 

ここから、脂肪酸とコレステロールについて詳しくお話します。

 

 

脂肪酸とは

脂肪酸は、食品の脂肪の約90%を占める成分で、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)の原子で構成されています。

鎖状につながった炭素の一端にはメチル基(-CH3)、もう一端にはカルボキシ基(-COOH)がついています。

 

脂肪酸の種類

炭素の二重結合があるかどうかで分類され、二重結合がないものが飽和脂肪酸、あるのものが不飽和脂肪酸です。

飽和脂肪酸

乳製品や肉の脂身など動物性脂肪に多く含まれ、取りすぎると生活習慣病のリスクが高まります。

食事摂取基準では18歳の目標量比率が、総エネルギー量の7%以下になる設定されています。

 

不飽和脂肪酸

炭素の二重結合の数により、さらに2種類に分けられます。

 

一価不飽和脂肪酸

二重結合を1つもつ不飽和脂肪酸。

良く知られるのはn-9系のオレイン酸で、オリーブオイルに含まれ、コレステロールを下げる働きがあります。

 

多価不飽和脂肪酸

二重結合を2つ以上もつ不飽和脂肪酸で、二重結合の炭素の位置によって分類されます。

いずれも、コレステロール値を下げて動脈硬化を予防します。

【n-3系】

メチル基から数えて、3番目の炭素から二重結合が始まる脂肪酸。

例:α-リノレン酸、DHA、EPAなど

 

【n-6系】

メチル基から数えて、6番目の炭素から二重結合は始まる脂肪酸。

例:リノール酸、アラキドン酸など

 

ここで例を挙げた5つのうち、α-リノレン酸とリノール酸は体内で合成できません。

このような脂肪酸は必須脂肪酸と呼ばれます。

また、それ以外の脂肪酸は体内合成できますが、量としてはわずかなので生活習慣病予防の観点からしっかり食事で補う必要があります。

取る比率としては、「n-3系:n-6系=1:4」が望ましいと言われています。

 

コレステロールとは

動脈硬化や脂質異常症といった疾患をよく耳にする現在、コレステロールにはどうしても悪者のイメージがつきまといますが、実際には細胞膜やホルモン、胆汁酸の原料になったりと、生命活動において必要不可欠な物質です。

 

常に一定に保たれている?コレステロールの不思議な特徴

食品からの過剰摂取が心配されるコレステロールですが、実は摂取したコレステロールの1/2~1/3程度しか吸収されません。

食事由来のコレステロールは、体内に占めるコレステロールの20~30%程度だと言われています。(外因性)

一方、小腸や肝臓でも日々コレステロールが合成されており、こちらは体内のコレステロールの70~80%を占めます。(内因性)

食事からの摂取が多ければ、体内での合成量が制限され、あまり摂取されなければ体内での合成が促進されます。

このように、常に一定量のコレステロールが体内に存在するようになっています。

 

摂取するときの注意点

「日本人の食事摂取基準 2015年版」より食事におけるコレステロール摂取量の上限量が撤廃されました。

ただし、この食事摂取基準は健常人を対象にしており、「健康診断で中性脂肪の数値を指摘された」など、少しコレステロールの数値を気にされている方は、食事の選択に気を配ったほうがよいでしょう。

また、女性は閉経を迎えると女性ホルモン(エストロゲン)の低下によって、コレステロール値が高くなりやすいので気を付けましょう。

 

脂質の消化・吸収

食事に含まれている脂質のほとんどは、トリアシルグリセロール(中性脂肪)が占めています。

トリアシルグリセロールは1つのグリセロールに3つ(=トリ)の脂肪酸(=アシル)がくっついた構造をしています。

このトリアシルグリセロールを消化・吸収する過程として、大きく肝臓(胆汁)・膵臓が関わっており、食べ物が胃から小腸へ向かう中で行われます。

 

胃→十二指腸

胃にはごく少量ですが“胃リパーゼ”という消化酵素が出ています。

ここで、トリアシルグリセロールは、ジアシルグリセロール(1つのグリセロール+2つの脂肪酸)に分解されます。

十二指腸に到達すると、胆のうから胆汁と、膵臓から膵リパーゼが分泌されます。

膵リパーゼの働きによって、トリアシルグリセロールやジアシルグリセロールは、モノアシルグリセロール(1つのグリセロール+1つの脂肪酸)と脂肪酸に分解されます。

胆汁

胆汁は、肝臓で作られ胆のうに貯められ、必要に応じて十二指腸へ分泌されます。

特に消化酵素は含みませんが、吸収の過程で大切な働きを担っています。

胆汁には、胆汁酸、リン脂質、コレステロール、胆汁色素(主にビリルビン)等々が含まれます。

 

十二指腸→小腸→全身

モノアシルグリセロールや脂肪酸は、そのままの形では小腸の膜を通過できません。

そこで、先ほど分泌された胆汁に含まれる胆汁酸とミセルを形成することで、小腸の微絨毛膜を通過できるようになるのです。

通過後、再度トリアシルグリセロールに合成されます。

血液に乗って移動したいけれど、血液は”水”、トリアシルグリセロールは”油”。

そのままの状態では血液にのって移動することができません。

そこで、トリアシルグリセロールはリン脂質(両親媒性; 水にも油にも溶けることができる)に包まれたキロミクロンというリポたんぱく質を作ることで血液中を移動できるようになるのです。

リポたんぱく質

消化吸収された脂質(コレステロールやトリアシルグリセロール)は、単体では血液に溶けることができないので、たんぱく質やリン脂質と結合して存在しています。

この結合体をリポたんぱく質といいます。

リポたんぱく質は、その中に含まれる成分の比率の違いでキロミクロンVLDLIDLLDLHDLに分類されます。

 

吸収された脂質の代謝

 

脂質の代謝の流れは、リポたんぱく質と合わせて説明していきます。

 

リポたんぱく質の種類

①キロミクロン

食事より摂取した脂質は、小腸から吸収されるとキロミクロンを形成します。

このキロミクロンは、トリアシルグリセロール(中性脂肪)を多く含み、コレステロールも少量含んでいます。(比率は約10:1)

リンパ管を通り、肝臓に運ばれる過程で、体の全身の細胞にトリアシルグリセロールを配ります。

この時、コレステロールは配られません。

キロミクロンに含まれるトリアシルグリセロールはどんどん引き抜かれ、最終的に肝臓に到達するときには、トリアシルグリセロール量はかなり減っています。

 

②VLDL

VLDLは肝臓で合成され、もともと肝臓で蓄積されていたトリアシルグリセロールを体の隅々の細胞に配っていきます。

キロミクロンと同様、トリアシルグリセロールを多く含み、コレステロールも少しだけ含んでいますが、配るのはトリアシルグリセロールだけです。(比率は約5:1)

 

③IDL

VLDLからトリアシルグリセロールを失っていく過程のリポたんぱく質で、

VLDLとLDLの中間の性質があると言われています

 

④LDL

VLDLのトリアシルグリセロールが少なくなったもので、コレステロールが大半を占めます。

リポたんぱく質の中でコレステロール含有量が最も多く、末梢組織にコレステロールを運びます。

コレステロールは、細胞にとって必要ではありますが、取りすぎると動脈硬化の原因になったりするため摂りすぎには気を付ける必要があります。

 

⑤HDL

HDLは、ほとんど何ものせていない状態で肝臓を出発し、血液中や動脈壁にたまった過剰なコレステロールを回収して肝臓に戻します。

 

調理油を選ぶ時のポイント

普段料理をするときに何気なく使っている油。

特に、血中のコレステロールを下げたり、動脈硬化のリスクを下げると言われる植物油も酸化してしまうと、過酸化脂質という体にとって有害な物質に変わってしまうので注意が必要です。

ここからは、必須脂肪酸(食事で必ず補わないといけない脂肪酸)であるリノール酸とαリノレン酸の特徴と選択・摂取するときのポイントをお話します。

 

リノール酸(n-6系)

サラダ油、大豆油、ゴマ油などに多く含まれています。

血液中のコレステロールを下げるので、生活習慣病予防の観点から摂取したほうがよいと言われてきました。

しかし、近年では取りすぎると、コレステロール値を下げてくれるHDLが低下したり、動脈硬化を促進すると言われています。

「必須脂肪酸」なので、体にとっては必要な油ですが、実は日本人が日常的に摂取している油のほとんどはリノール酸だと言われています。

つまり、知らず知らずのうちに過剰摂取している可能性があります。

炒め物など、油を使った料理は1日1回までにする、など摂取量を控えつつ、n-3系の脂肪を含んだ食品を積極的に取るとバランスが良くなります。

 

αリノレン酸(n-3系)

しそ油、えごま油、亜麻仁油などに含まれます。

がんを抑制したり、高血圧の予防、アレルギー症状の改善に効果があると言われています。

普段油を調理で使うなら、炒め物などの加熱調理がピンとくるかと思います。

しかし残念ながら、αリノレン酸を含むn-3系の油全般が加熱によって酸化してしまう性質をもっています。

空気にさらしておくだけでも酸化は進み、さらに加熱してしまうとより酸化が進行してしまうのです。

冷暗所に保存して、なるべくはやめに使い切りましょう。

おすすめの調理法は、サラダなどの加熱しない料理にかけることです。

しそ油、えごま油、亜麻仁油などをベースにオリジナルのドレッシングを作るのも良いでしょう。

n-3系の油は意識しないとなかなか取れないので、ぜひ工夫して積極的に取ってください。

大塚(企画部)

この記事を書いた人

大塚(企画部)

大学時代、栄養学を専攻し在学中に管理栄養士免許を取得。現在は商品開発や情報発信に役立ててます。

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