栄養のこと

2018年06月14日

【食物繊維】生活習慣病の強い味方|栄養成分辞典

大塚(企画部)

大塚(企画部)

食物繊維とは

 

食物繊維は、「人の消化酵素で消化されない難消化成分」の総称です。

一般的に「炭水化物=糖質+食物繊維」と言われています。

かつては「食物の残りカス(不要物)」と考えられていましたが、近年では生活習慣病の予防にも役立つことが分かり「第6の栄養素」と呼ばれるほどになりました。

 

1日の望ましい摂取量

1日の望ましい摂取量は下記に記載の通りです。

(2015年版 日本人の食事摂取基準より)

 

食物繊維の食事摂取基準(g/日)

平成28年国民健康栄養調査結果によると、1日の平均摂取量は男性で14.5g/日、女性で13.9g/日と望ましい量を大幅に下回っているのが現実です。

積極的に取るべき栄養素の1つであると言えます。

 

食物繊維の分類

下記の青い枠で囲んでいるのが、いわゆる食物繊維になります。

最初にお話したように、炭水化物は「糖質+食物繊維」ですが、厳密に言うと私たちが食用として口にする食物繊維は糖の集合体である多糖類に分類されます。

では、糖質と何が違うかというと、

人の体内で合成される消化酵素によって分解されてエネルギーになるのが「糖質」

分解されずに腸まで届いて腸内環境を整えるのが「食物繊維」

です。

 

食物繊維にはたくさんの種類が存在しますが、その違いは構成する単糖類の違いやその糖類をつなぐ結合様式の違いによって分けられています。

例えば、野菜などの植物に幅広く含まれているセルロースという食物繊維は「D-グルコース」という単糖類が「β-1.4結合」という形式の結合をすることで形作られています。

ちなみにリグニンは、木材や竹、藁などの木化した植物中に多く含まれる芳香族高分子化合物で、多糖類ではなくポリフェノ―ルに分類されます。食品だと、カカオや緑豆など多く含まれています。

食物繊維は大きく、その性質から水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」に大別されます。

 

水溶性食物繊維

【特徴・はたらき】

スポンジのように水分を吸収してゲル状になり、腸内の様々な物質を吸着して、体外へ排出します。

《例》

・ブドウ糖の吸収をゆるやかにする。(→糖尿病予防)

・胆汁酸を吸着して体外に排泄する。(→動脈硬化予防)

・食塩(ナトリウム)と結びついて排泄する。(→降圧作用)

など

 

また、ゼリー状に固める作用があるので、ジャムやマーマレードを作るときにも利用されます。

腸内細菌によって分解され、発酵しやすいので、腸内フローラを改善する働きがあるとも言われています。

 

【含有する食品例】

・ペクチン(りんごやバナナ)

・キサンタンガム(樹皮や果皮)

・コンニャクマンナン

・アルギン酸(わかめ)

・フコダイン(もずく)

・カラギーナン(もずく)

など

 

不溶性食物繊維

【はたらき・特徴】

文字通り、水には溶けないのですが、水分を吸収してかさを増す性質があります。

腸の内容物(便)のかさが増えると、大腸の蠕動運動が活発になります。

不溶性食物繊維の主な働きは、便の移動をスムーズにして排便を促すことです。

これによって、腸内に便が停滞する時間が短くなるので、有害物質(残留農薬や食品添加物等)の排泄促進や大腸がんの予防が期待できます。

また、不溶性食物繊維を多く含む食品には、かたくてよく噛まないとならないものが多いので満腹感を得やすいです。

よく噛んで食べることで唾液の分泌が促進され、歯茎やあごが強くなり、虫歯の予防にも効果的です。

 

【含有する食品例】

・セルロース(穀物の外皮、野菜)

・ヘミセルロース(米ぬか)

・イヌリン(ごぼう)

・グルカン(きのこ)

・リグニン(カカオ)

・キチン(えび、かになどの甲殻類)

など

 

摂取時の注意点

人によってはとりすぎるとお腹を下す場合があります。

下痢が続くと、ビタミンやミネラルが排出されてしまうので注意しましょう。

また、不溶性食物繊維を多く含む食品はよく噛んで食べましょう。

しっかり噛むことで、繊維がほぐれて水分が吸着しやすくなります。

 

便秘のタイプで摂るべき食物繊維が違う?!

便秘は、大きく「急性」と「慢性」に分けられますが、大半が慢性便秘で、その原因毎に4つに分類されます。

「薬剤性便秘」「器質性便秘」「症候性便秘」は原因がはっきりしていますが、「機能性便秘」の原因は多岐に渡ります。

最も一般的な便秘はこの機能性便秘だと言われています。

 

機能性便秘はその発生機序から大きく3つに分類されます。

 

弛緩性便秘

大腸・腹筋の筋力低下によって排便時に十分な腹圧がかけられないことが原因で生じる便秘です。実は便秘の7割がこの弛緩性便秘だと言われています。

加齢や体力の低下とともに起こりやすくなってはきますが、若年層でも食事制限をしたり、食物繊維の摂取が不足している場合に起こります。

弛緩性便秘でお悩みの方は、便の量を増やし腸の活動を盛んにする働きを持つ不溶性食物繊維を摂るのがおすすめです。

 

痙攣性便秘

過度な精神的ストレスなどによって、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、必要以上に腸機能が活発になっている場合起こります。

“痙攣”という言葉がついているように、ピクピク過剰に動いているイメージです。

そして、痙攣性便秘の大きな特徴が「便秘と下痢が両方とも発生する」というところです。

一般的に「便秘の場合、食物繊維を取るべき」と言われますが、痙攣性便秘の場合、野菜などのかたい食物繊維(=不溶性食物繊維)は腸にとっては刺激物となってしまい、その結果下痢や腹痛を引き起こす原因となります。

このタイプの便秘は、水溶性食物繊維を含む食品を取ることをおすすめします。

敏感になっている腸に刺激を与えずに、腸内環境を整えてくれるからです。

 

直腸性便秘

直腸性便秘とは、「肛門の手前まで便がきているのに便が出ない」という状態で、よく便意があっても排便を我慢しがちな女性に多く見られます。

便秘によいとされている不溶性食物繊維(ゴボウなど)は、便のカサを増やして、出口に便がたまりやすくなるのであまりおすすめできません。

直腸性便秘の場合、水溶性食物繊維水分をしっかりとって、便を柔らかくする必要があります。

また、食事と見直しと別に、「毎日定時にトイレに行く」ことを習慣にするのも大切です。なるべく我慢しないようにしましょう。

 

大塚(企画部)

この記事を書いた人

大塚(企画部)

大学時代、栄養学を専攻し在学中に管理栄養士免許を取得。現在は商品開発や情報発信に役立ててます。

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