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2018年06月22日

【DHA・EPA】魚に秘められた血液サラサラパワー|栄養成分辞典

大塚(企画部)

大塚(企画部)

DHA・EPAとは

DHA(エイコサペンタエン酸)は不飽和脂肪酸の1つでn-3系脂肪酸に分類されます。

EPA(エイコサペンタエン酸)は、IPA(イコサペンタエン酸)とも呼ばれ、DHAと同様、不飽和脂肪酸の1つでn-3系脂肪酸に分類されます。

両者ともに、イワシやサバなどの青魚の油に多く含まれています。

 

「魚離れ」が原因!日本人がとるべき栄養素 DHA・EPA

最近は若者だけでなく、中高年層まで魚離れは及んでいます。

この10年の間に30~40代でも魚介と肉の摂取量が逆転し、50代以上でも魚介類の消費が減少していると言われています。

魚離れの理由としては、「家族が魚介類を好まないから」が多く、他にも「魚介類は肉より割高」「魚介類は調理が面倒」などが挙げられます。

魚介類の摂取量の減少に伴い、増加しているのが肉類の摂取量です。

その中でも健康面に大きく影響を与えるのが栄養素の一つである「脂肪酸」、特に魚油に多く含まれていると言われるDHA・EPAです。

 

DHA・EPAの効果

両者に共通する「血液サラサラ効果」

DHA・EPAともに、n-3系脂肪酸の特徴である「コレステロール値の正常化」「中性脂肪の低下」が期待できます。

 

コレステロール値の正常化

血流が悪くなる代表的な要因として、悪玉コレステロール(LDL)の増加が挙げられます。

悪玉コレステロールが増加すると血管内部にコレステロールがこびりつき、動脈が硬くなり、血液の流れが悪くなります。

n-3系脂肪酸であるDHA・EPAは、血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らす働きがあり、善玉コレステロール(HDL)を増やす働きがあると言われています。

つまり、DHA・EPAが血中にたくさん流れていると、血管内をきれいに掃除する善玉コレステロール(HDL)が増え、悪玉コレステロール(LDL)を引き抜いて肝臓まで運び、動脈硬化を防止してくれます。

中性脂肪の低下

中性脂肪には、食べ物から直接吸収されるものと、肝臓で合成されるものの2種類があります。

食べ物から吸収された中性脂肪はエネルギーに変換され、消費されます。

そして、余った分は中性脂肪として肝臓や脂肪細胞に蓄えられます。

この蓄積された脂肪は、VLDLという船に乗って血液中を流れます。

そして、再び体の細胞でエネルギーに変換されるのですが、その燃えカスが血管内に内皮に入り込むことで動脈硬化がすすんでしまいます。

この「必要以上に体にある中性脂肪」が、脂質異常症や動脈硬化を引き起こす要因になると言われています。

では、この中性脂肪に対して、DHA・EPAはどのように働きかけるのでしょうか。

基本的には、以下のような効果が確認されています。

 

・代謝促進(エネルギーの燃焼を促す)

・肝臓での中性脂肪の合成を抑制する

・肝臓から血液への過剰な中性脂肪の分泌を抑制する

 

他にも、体に及ぼす嬉しい効果がたくさんのDHA・EPA。

セットで目にすることが多いですが、実はそれぞれ異なった働きを持っているのでご紹介します。

 

DHAの働き

DHAの働きは血液のみならず、脳や視力など、その効果は多岐に渡ります。

 

記憶力・学習能力向上

脳細胞の脂肪には、平均10%程度のDHAの存在が確認されています。

特に注目したいのは、記憶学習機能をもつ「海馬」におけるDHAの割合です。

海馬におけるリン脂質のなんと20%以上の割合でDHAが含まれており、「頭がよくなる」ということは、海馬におけるDHAの作用が深く関係していると考えられているのです。

海馬に取り込まれたDHAは、神経細胞へと入ります。

脳の情報はすべてシナプス(脳の神経細胞の先端部分)を通して伝達されますが、このシナプスの膜が何らかの要因でかたくなっていると、情報の送受信が鈍ってしまいます。

実は、ここに多く含まれているのがDHAなのです。

DHAは赤血球のときと同じようにシナプスの膜に入り込み、柔らかい状態を保つ働きをしています。

つまり、脳にDHAが多くなると、シナプスの膜の柔軟性が高まり、情報の送受信機能が高まるのです。

 

このようなことから、DHAは「頭が良くなる」であったり、「脳の老化を防止する」と言われているのです。

 

また、年齢を重ねると、脳内のDHAの量も減少してしまうことも分かっています。

老化によって脳細胞の量が減っても若いころ以上にDHAを摂取し、脳細胞を最大限活用化できれば、記憶や学習能力の低下を最小限に抑えることができるのです。

 

近年の実験では、「アルツハイマーにもDHAが効果があるのでは」と期待されています。

1991年にスウェーデンのカロリンスカ研究所が行った研究結果によると、アルツハイマー型認知症で死亡した人には、海馬に含まれるDHAの割合が著しく低いという結果が出ています。

まだ、アルツハイマー型認知症とDHAのつながりは研究段階ですが、これからもっと期待できそうです。

 

視力の維持(回復)

脳にたくさん存在しているDHA。

それ以上に高濃度で存在しているのが、目の網膜なんです。

網膜にある脂肪のうち、40~60%をDHA が占めています。

昔から「魚の目を食べると目や頭がよくなる」といわれますが、これは魚の目の周辺にDHAが多いからです。

目から入ってきた光や映像は網膜で焦点を結び、視細胞により電気信号へと変換され、神経細胞を通じて脳に届けられます。

DHAは、網膜や神経細胞に多く含まれる大切な成分で、視神経の伝達をよくする働きや網膜細胞をやわらかくして反射機能を高める働きがあります。

したがって、DHAをしっかり補給することで、物の見え方も良くなり、視力の維持・改善や眼精疲労の回復につながるのです。

 

DHAと視力の関係について様々な研究が行われています。

興味深い研究結果をいくつかご紹介します。

■サルを2世代に渡ってDHAを含まない飼料で飼育して比較するという試験を行ったところ、生後4週、8週、12週の視力測定で、DHA欠乏のサルは視力が劣っていることを確認。

■視力1.0以下の4~22歳の男女27名を対象にDHA300mg配合のパンを毎日1個、1ヶ月食べてもらったところ、視力が改善(0.2以上向上)した人が11名(40.7%)いた。

■学校給食にDHA入りパンを導入したところ2年で視力1.0未満の子供の比率が22.3%から19.0%にまで下がった。

■週に1回以上、サバを食べていない人は、裸眼の視力が0.7未満になるリスクが2.28倍になる。  

 

EPAの働き

血液循環を悪くする要因として、コレステロール値や中性脂肪の上昇以外にも「血小板の過剰凝集」や「赤血球の硬化」があります。

EPAは、その両方に働きかける力を持っています。

 

血小板の過剰凝集を防ぐ

EPAは血液を固まりにくくする働きがあるので、血小板が必要以上に凝集することで血管を詰まらせてしまう「血栓症」を防ぐ力を持っています。

血栓症は、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患引き起こす恐れがあるのでしっかりEPAを摂取することは、これらの疾患を予防するのに効果的です。

 

血圧降下作用

赤血球は、血中成分の中でもとりわけ大きな成分であるため、末端部の毛細血管を通過する場合、血管の大きさに合わせて形状を変化させなければなりません。

そこで重要な成分がEPAなのです。

健康的な赤血球の膜には、EPAが豊富に含まれており、それがゴムボールのような柔軟性を生み出すのです。

赤血球に柔軟性がない状態で、血液が毛細血管に送り込まれると、毛細血管がつまり、それでも血液は流れなければならないので、ポンプ役の心臓がより圧をかけ、血液を流そうとします。

これが高血圧という症状が現れる原因となります。

つまり、EPAの赤血球を柔らかくする作用は血圧の正常化に非常に効果的なのです。

 

EPAの「血液サラサラパワー」は非常に強いので、「血栓症予防」や前述の「コレステロール値の改善」「中性脂肪値の改善」の治療薬にも用いられています。

以上の違いを踏まえると、DHAは「幅広くいろんな部分に働きかける栄養素」、一方EPAは「血液サラサラに特化した栄養素」と言えます。

 

1日に摂る量

≪望ましいDHA・EPAの摂取量(g/日)≫

※用語の解説はこちら

DHA・EPAを合わせて1日1g(1,000mg)以上摂取することが理想的だと言われています。

 
 

摂りすぎると…

耐容上限量は設定されていない

DHA・EPAに関しては、「たくさん食べたときにこんな症状が出た!」など、耐用上限量を設定するほどのエビデンスがないので現在設定されていません。

日本人においては、魚の摂取不足が問題となっており、どの年代も1000mgには到達していないのが現状です。

なので、むしろ積極的に摂取したほうがよいでしょう。

 

こんな人におすすめ

✓年齢を感じ始めて方

✓物忘れが増えたと感じる方

✓健康診断で数値に不安な方

✓考える仕事、勉強を頑張っている方

✓魚不足が気になる方

✓最近集中力がなくなったと感じる方

✓コレステロール、中性脂肪、血圧などの悩みがある方

✓動脈硬化が気になる方

 

多く含まれる食品

DHA・EPAを多く含む主な食品

食品名 1食分の目安量(g) DHA(mg) EPA(mg)
サバの
切り身(焼)
100(1切れ) 2,700 1,700
さんま(缶詰) 150 2,550 1,500
マグロ
トロ刺身(生)
75(5切れ) 2,158 968
ブリの
切り身(焼)
100(1切れ) 1,900 1,000
カツオの
タタキ(生)
100g(6切れ) 970 400

*文部科学省「日本食品脂溶性成分表」を参考に算出

 

調理や保存のポイント

おいしい魚の食べ方と言えば、刺身、焼き魚、煮魚など色々あります。

DHA・EPAを効率よく取るには、お刺身(生)が最もおすすめです。

一方、DHA・EPAは「加熱に弱く、酸化しやすい」性質があるので、焼き魚や煮魚で食べるときには注意が必要です。

魚を煮たり焼いたりすると、DHA・EPAが煮汁や油の中に溶けだしてしまいます。

おすすめの調理法はホイル焼きや、蒸し焼きなど。

これらの場合、煮汁に溶けだしたDHA・EPAも摂取することができます。

現在、目標量になかなか達しづらいと言われている栄養素の1つなので、しっかり補給できるよう工夫しましょう。

 

また、脂質は「n-3系脂肪酸:n-6系脂肪酸=1:4」の比率で取るのが望ましいと言われています。

一生懸命n-3系(脂肪酸)のDHA・EPAを摂取しても、n-6系の油をたくさん取っているとn-3系の必要量は増してしまいます。

n-6系脂肪酸は知らず知らずのうちに取りすぎていることがあるので、気持ち少し控えたほうがいいでしょう。

マリネなど、冷たい料理でお魚と油を取るのであれば、n-3系の亜麻仁油やエゴマ油を使うのがおススメです。

大塚(企画部)

この記事を書いた人

大塚(企画部)

大学時代、栄養学を専攻し在学中に管理栄養士免許を取得。現在は商品開発や情報発信に役立ててます。

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